地下室 の 手記 - 地下室の手記

の 手記 地下室 引きこもり男性が主人公の小説『地下室の手記』感想

の 手記 地下室 【あらすじ・感想】地下室の手記

の 手記 地下室 ドストエーフスキイ 米川正夫訳

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【あらすじ・感想】地下室の手記

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地下室の手記

の 手記 地下室 『地下室の手記』ドストエフスキー文学の隠れたコア【書評】

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の 手記 地下室 『地下室の手記』ドストエフスキー文学の隠れたコア【書評】

の 手記 地下室 ドストエフスキー作『地下室の手記』あらすじを分かりやすく紹介します

ドストエーフスキイ 米川正夫訳 地下生活者の手記 ЗАПИСКИ ИЗ ПОДПОЛЬЯ

諸君は気がおつきになったか知らないが、最も洗練された流血魔は、ほとんど一人の例外もなく、最高の文化に浴した連中ばかりで、こんなのに比べると、かの盛名を馳せているアッチラ 汗 ( カン )とか、スチェンカ・ラージンなどといったような手合は、まるで足もとにも追っつかない場合も珍しくない。 ね、 表 ( ひょう )によって意欲するなんて、何が面白いものかね。 「地下室」と「ぼた雪に寄せて」 の二部構成からなる 文献 [ ]• おなじ悪をもって敵に復讐しようという穢らわしい下等な欲望が、鼠の腹の中では、 自然と真理の人 ( ロンム・ド・ラ・ナテュール・エ・ド・ラ・ヴェリテ )よりも、もっと醜悪なかたちでひしめきあっているかもしれない。 ドストエフスキー『地下室の手記』 何も考えずに「自然の法則」に従えるのが、主人公がいう所の「 直情径行の人・活動家」なのだと思います(上でも書きましたが、主人公によると彼らは「 ノーマル」であり、「 自然がかくあれかしと望んだような人間」)。 それが、やつらにはわからないんだからな! 「痩せた!」とか「みなりが!」とかいいやがって、ああ、いまいましいズボンだ! ズヴェルコフのやつ、ついさっきも、膝っこの黄いろいしみに目をつけやがった……いったいここで何をぐずぐずしていることがあるんだ! さっそく今すぐテーブルから立ちあがって、帽子を取ると、ひと言も口をきかないで、さっさと行ってしまおう……つまり、軽蔑の念を示すためにだ! そして、明日は決闘でも申し込むのだ。 今やわたしは自分の片隅に最後の日を送りながら、賢い人間は本気で何かになることはできない、ただ馬鹿が何かになるばかりだという、なんの役にも立たない毒々しい気やすめで、自分で自分を愚弄している 態 ( てい )たらくだ。 わたしはあるいは将軍に、あるいは近衛騎兵に、あるいは軽騎兵将校に、時には貴婦人たちに道を譲りながらきわめて見苦しい恰好で、まるで 鰌 ( どじょう )のようにちょろちょろ泳ぎ廻った。 この鼠の心中には、おそらく l'homme de la nature et de la v rit (自然と真理の人)よりも、もっと憎悪の念が、つもりつもっているに相違ない。 必ずさがしだすに相違ない! あの 純潔なるハートをもった連中のロマンチシズムときたら、いまいましいっちゃありゃしない! あの穢らわしいセンチメンタルな魂をもった連中の浅薄さ、愚劣さ! 陋劣さ! ふん、どうしてこれがわからないのだろう、これがわからないはずはないように思えるんだがなあ?……』けれど、ここでわたし自身も言葉を止めざるを得なかった。 だれも 伝手 ( つて )がなかったからである。 で、われわれが本当にこうした表や、年鑑や、それから……例の 蒸溜器 ( レトルト )さえも、目標として進んでゆくものとすれば、仕方がないから、レトルトさえも受け容れるべきである! でなければ、レトルト自身諸君を煩わさないで、勝手に納まりこんでしまうだろう……』 まさにそのとおり。 『いずれにしても、いよいよ公衆の中で騒ぎが起こったら(なにしろ、あそこの公衆は 余りもの ( スペルフリュ )で、伯爵夫人も歩いていれば、D公爵もおひろいになっているし、文壇ぜんたいが練り歩いているのだからな)、相当な身なりをしていなくちゃならない。 うう、なんていやなこった! だが、一番いやなのは、そんな問題じゃない! ここには何かもっと重要な、もっと穢らわしい、もっと陋劣なことがあるんだ! そうだ、陋劣なことだ! それにまたしても、またしてもあの破廉恥な虚偽の仮面をかぶらなくちゃならない!……』 この考えに行きあたると、わたしは思わずかっとなった。 英雄にあらずんば 塵芥 ( ちりあくた )、中庸などは存在しなかった。 「ドイツ人かい?」 「ロシヤ人よ」 「前からここへ来てるの?」 「どこへさ?」 「この家へさ」 「二週間まえよ」 彼女の調子はだんだんぶっきら棒になって来た。 それどころか早く 斃 ( くた )ばってくれないで、よけいな場所ふさぎをするというんで、かえってきみのほうを責めるくらいさ。 「第一 地下の世界」 『地下室の手記』は二部構成になっています(第一が「 地下の世界」、第二が「 べた雪の連想から」)。 だが、ぼくにとってなんの関係があるというんだ? ただなんということなしに、かわいそうな気がするんだよ」 「だれが?」 「きみがかわいそうなのさ」 「それには及びませんわ……」彼女はほとんど聞きとれないくらいにささやいて、またちょっと身じろぎした。 ムシュウ・フェルフィーチキン」 「なあーんだって! われわれのうちでだれが金も払わないで、食事をしているというのかね? きみはまるで……」フェルフィーチキンは 茹 ( う )で蟹のように真っ赤になり、喰いつきそうな目つきでわたしを睨めながら、くってかかった。 それを、きみたちは 真 ( ま )に受けてるんだからな! いったいその男は、色男なるものは、本当にきみを愛しているのだろうか、ぼくはそんなことを信じない。 事実、こんなことばかりが頭にうかんでくるのだから、自然そらで暗記されて、文学的な形式をとるようになったのも、あながち不思議ではないのだ…… しかし、はたして諸君は、わたしがこれをすっかり印刷して、おまけにそれを諸君に読ませるつもりだなどと、そんな想像をするほど、軽はずみな人たちだろうか? それから、もう一つわたしには疑問がある、本当にわたしはなんだってあなた方を『諸君』などと呼ぶのだろう? またなんだって本当の読者にでもむかうような態度を、あなた方に対してとっているのだろう? わたしがこれから叙述にかかろうと思っているような告白は、印刷すべきものでもなければ、他人に読ますべきでもない、少なくとも、わたしはそれだけの確固たる意志を持っていない、また持たなければならんとも考えていないのだ。 しかし、もうたくさんだ……ああ、さんざしゃべり散らしはしたものの、いったいなにを説明することができただろう?……わたしのいう快感はどう説明されたのだ? しかし、わたしは説明してみせる! わたしはいやでも最後までけりをつけずにはおかない! わたしが筆をとったのも、つまりそのためではないか…… 早い話が、わたしは恐ろしく自負心が強い。 まったくわたしとしては、平凡俗悪な純粋の腰弁式淫蕩に満足して、その穢らわしさをことごとく忍ぶなんて、そんなことができた義理ではないではないか! その当時、こんな淫蕩のどういうところがわたしの気に入って、よる夜中、わたしを街頭へ引っ張りだしたのだろう? なに、わたしは何にでも通用する上品な抜け穴を持っていたのだ…… しかし、わたしはこうした空想の中に、こうした「美しくして高遠なるもの」への逃避の中に、どれだけの、ああ、どれだけの愛情を経験したろう! それは、幻想的な愛であり、けっして事実上なんら人間的なものに当てはまらない愛ではあったけれども、しかしそれがあまり豊富に満ちあふれていたので、その後、実際に当てはめようなどという要求さえも感じられないほどであった。 そういう時、自分の身なりの見すぼらしさや、ちょこちょこと動く自分の姿の下劣な浅ましさを考えただけで、わたしは心臓に痙攣的な痛みを覚え、背中に 熱気 ( ねつけ )を感じるのであった。 あすこじゃお客だって、なぐらずにかわいがる 術 ( すべ )を知らないんだよ。 ああ、どうかしてこの一日が少しも早く過ぎてしまうようにと、わたしはどんなに神に祈ったかしれない! 名状しがたい憂愁をいだきながら、わたしは窓に近よって通風口を開き、 霏々 ( ひひ )として降ってくるべた雪の、どんよりと黄いろい薄闇を見透かしたものである…… とうとうわたしの部屋にかかっているやくざな柱時計が、じいじいとしゃがれ声で五つ打った。 フェルフィーチキンもそれに 倣 ( なら )った。 というのは、 自然と真理の人 ( ロンム・ド・ラ・ナテュール・エ・ド・ラ・ヴェリテ )は生まれつき愚鈍なために、自分の復讐をただお手軽に正義と考えているからである。 わたしは押し潰されたようにへとへとに疲れて、しかも何やら 解 ( げ )しかねるような気分になっていた。 「 謹聴 ( シランス )!」フェルフィーチキンがわめいた。 それに、おれは昨日こんな身なりで、勇敢にも宴会へ出かけたんだからな! この模造皮張りの長いすだって、中から 腸 ( はらわた )が覗いている始末だ! それに、部屋着だって、満足に体を包むこともできやしない! ひどいぼろぼろだ……あの女はこれをことごとく見て取るわけだ。 わたしなどはおそらくその 最 ( さい )たるものだろう。 しかし、人間をそんなふうに改造できるというだけでなく、またそれが 必要だなどということを、いったい諸君はどうして承知しておられるのか? 人間の意欲はどうしても匡正 せねばならないなどと、諸君はどこから割りだしたのか? 手っ取り早くいえば、こうした匡正がじっさい人間に利益をもたらすなんてことを、どうして諸君は心得ていられるのだ? また、こうなったら何もかもいってしまうが、理性や数学の推論によって保証された本当のノーマルな利益に逆行しないということが、いつも人間にとって真に有利であり、かつ全人類の 服膺 ( ふくよう )すべき法則であるなどと、どうして諸君はそれほど 確実に信じ切っていられるのか? そんなことはまだ今のところ、単に諸君の仮定にすぎないではないか。 わたしはむしゃくしゃまぎれに、 赤葡萄酒 ( ラフィット )やシェリー酒をコップでがぶがぶ飲んだ。 「すぐ行け、今すぐ、これからすぐ! なんといったって、貴様は業つくばりだ! 業つくばりだ! 業つくばりだとも!」 けれども、彼はわたしをじろりと見ただけで、くるりと廻れ右をすると、もうわたしの返せ戻せという叫びに耳もかさず、あとを振り向きもしないで、ふわふわと自分の部屋へ引き上げて行った。 『それというのも、おれが頭脳の発達した教養人だからさ! もしほかのやつがおれの立場におかれたら、どうして窮地を滑り抜けたらいいか、とほうにくれてしまったろうが、おれはこのとおりうまく 体 ( たい )をかわして、また勝手な太平楽を並べている。 まるで背むしか 小人 ( こびと )のように、猜疑心が強くて、怒りっぽい。 諸君は永遠に 不壊 ( ふえ )の水晶宮を信じていられる。 「お父さんお母さんはいるかい?」 「ええ……いいえ……あるわ」 「どこにいるの?」 「あちらに……リガに」 「いったいどういう人なんだい?」 「べつに……」 「べつにって、なんだい? いったい何者で、どういう身分だね?」 「町人なの」 「きみはこれまでずっと両親といっしょに暮らしていたの?」 「ええ」 「年はいくつ?」 「はたち」 「なぜきみは親もとを離れたんだい?」 「べつに、なぜって……」 この べつには言葉を換えると、うるさい、引っ込んでください、という意味なのであった。 もしかりにノーマルな人間のアンチテーゼ、即ち自然の懐から出たのでなしに、 蒸溜器 ( レトルト )から生まれたような(これはもうほとんど神秘主義に属するが、諸君、わたしはそれをも多少信じている)、強烈な意識を有する人間を例にとってみると、このレトルトの人間がどうかすると、自分のアンチテーゼの前に兜を脱いでしまい、強烈な意識を有しているにもかかわらず、好んで自分を二十日鼠かなんかのように考えて、人間扱いをしなくなるのである。 「お前の名はなんというんだい?」わたしは少しも早く 鳧 ( けり )をつけようと思って、ひきちぎったような声でたずねた。 まるで何かの犯罪が 重石 ( おもし )のように、わたしの魂にのしかかっているようなあんばいだった。 訳や訳では『 地下生活者の手記』(ちかせいかつしゃのしゅき)、訳では『 新訳 地下室の記録』(しんやく ちかしつのきろく)の題で出版された。 それは「本当に、本当にいい人ばかりで、ちゃんと 家庭を持っている人たちですの、そして、まだ なんにも知らない、それこそまったくなんにも知らないんですの」なぜって、彼女自身もここではまだほんの 新参 ( しんまい )で、ただ一時こうしているばかり……けっしていつまでも腰を据えようと腹を決めたわけではない、前借を払い次第、きっとここから出て行くつもりだから……と彼女はいった。 是が非でも襟をとり替えて、将校連がしているような 海狸 ( かいり )にしなければならない。 いつ 何時 ( なんどき )ほかのお客に呼びつけられるかもしれないのに、それを承知しながら、心からかわいがれるはずがないじゃないか。 それはいまだに 余喘 ( よぜん )を保っている世代の一代表者なのである。 彼女はわれに返って、いきなりわたしに飛びかかり、わたしの体を抱きしめようとしたが、それだけの勇気もなくて、静かに 頭 ( こうべ )を垂れた。 人間はそれを建設することにのみ愛を持って、その中に住むことを好まないのかもしれない、建ててしまうと、後はその建物を aux animaux domestiques (家畜どもに)たとえば蟻とか、羊とか、そういったようなものにまかせてしまいたいらしい、現に蟻などは、ぜんぜん変わった好みをもっている、彼らはこれに類した一つの驚くべき建物、永久に壊れることのない建物をもっている。 ああ、なんという子供らしい考え方だ! ああ、まるで純潔無邪気な赤ん坊の夢だ! 第一、開闢以来ただの一人でも、単におのれの利益のみのために行動した人間があるだろうか? 人間というものは、 みすみす自分の本当の利益を承知しながら、それを二の次にしてしまって、だれにも何ものにも強制されているわけでもないのに、別な冒険の道へ突進してゆく。 そのためにわたしは 勧工場 ( ゴスチヌイ・ドヴォール )をぶらつき始めた。 「第二 べた雪の連想から」 「第一 地下の世界」では主に主人公の内面世界について書かれていましたが、「第二 べた雪の連想から」では、主人公の過去の行動がいくつか書かれています。 いったい四十年も人間をたった一人で、仕事もさせずにうっちゃっておいていいものでしょうか?』 『それは恥ずかしいことじゃないかね、それは卑怯なことではないかね!』おそらく諸君は 蔑 ( さげす )むように頭を振りながら、わたしにむかってこういうだろう。 「シーモノフ! ぼくはきみが金を持っているのを見たんだよ! それだのに、なんだってぼくの頼みを拒絶するんだ? いったいぼくがやくざ者だとでもいうのかい? ぼくの頼みをことわるには、よく気をつけなくちゃ駄目だよ。 わたしは 家具付貸間 ( シャンプル・ガルニ )などに住むことができなかった。 外套そのものとしてはさしてわるくもなく、暖かくてよかったけれど、しかし綿入れもので、 浣熊 ( あらいぐま )の襟がついていた。 それはとてつもない 衒学 ( ペダン )者であった。 あるとき彼が放課時間に、友だちと未来の情婦のことをしゃべっているうちに、とうとう日向ぼっこをしている仔犬のように浮かれだし、自分は領地の村娘を一人だってただではおかない、それは droit de seigneur (領主の権利)だから、もし百姓どもが生意気に反抗したら、そういう髯むじゃの悪党どもを、一人残らず鞭で叩きのめしたあげく、年貢を倍に値上げしてやるなどと、出しぬけに宣言したからである。 そうすると、わたしはまたしても 心 ( しん )から感激して、後悔の涙を流したものである。 わたしはある紳士を知っていたが、その人は 赤葡萄酒 ( ラフィット )の通であることを、一生自慢にしていた。 毛むくじゃらの小さな 斑馬 ( ぶち )も、やはり体じゅう真っ白になって、こほんこほん咳をしていた。 バラエティ・アートワークス企画『地下室の手記 』 、 外部リンク [ ]• こうなったら、父親と母親とは、いっそうぴったりと結びつかないというはずがないじゃないか? よく人は子供をもつと苦しいというが、そんなことをいうやつはいったいだれだろう? それこそ天国のような幸福じゃないか! リーザ、きみは小さな子供が好きかい? ぼくはとても好きなんだよ。 恐らく主人公も掛け算や石の壁を壊せないという 物理的な法則に抗えないことは重々承知しているのですが、人間が決めた 常識や 慣習などに関しては時には「 二二が五」だっていいのではないか、という思いを抱いているのではないでしょうか。 その目はもの珍しげに、 執念 ( しゅうね )くわたしをじろじろ見廻している。 ところが、わたしは飢えを忍びながら、あたらしい思想を宣伝するために、 跣足 ( はだし )で出かけて行く、そして、アウステルリッツの戦場で退歩主義者どもを撃破する。 ぼくはきみを侮辱したが、しかし……」 「侮辱したって! きーみが! ぼーくを! ねえ、きみ、たとえどんな場合でも、またどんなことがあろうとも、きみが ぼくを侮辱することなんかできないよ!」 「もうたくさんだ、どいてくれたまえ!」とトルドリューボフは力み返った。 さあ、ここにピストルがある、おれはこの中の 弾丸 ( たま )をぶっ放しに来たのだ。 主人公によれば、「 直情径行の人・活動家」は 馬鹿で愚鈍で浅薄らしいのですが、そう悪いことばかりでもなく、彼らは「 ノーマル」であり、「 自然がかくあれかしと望んだような人間」であるので、主人公は彼らが羨ましいのだそうです。 彼はわたしという人間を 諳 ( そら )で知っていたのである。 「いますぐでなければ、やがてそのうちによ」 「ふむ、そのうちにだって、いやなことさ……」 「もしそう注文どおりにゆかなかったら? 現在きみは若くて、綺麗でいきいきしているから、うんと高く買ってもらえるけれど、こんな生活をもう一年もつづけていたら、きみもすっかり変わってしまって、しなびてくるに決まってる」 「一年やそこいらで?」 「いずれにしても、一年も経ったら、きみの相場は下がってくるよ」わたしは意地悪い喜びを感じながら、言葉をつづけた。 こいつはいっかな降参しようとしないで、 虫唾 ( むしず )が走るほど軍刀をがちゃがちゃ鳴らす癖があった。 「だって、あなたはわたくしを『業つくばり』などと、 悪口 ( あっこう )なすったじゃありませんか。 「二二が四」に憤る わたしにはなぜかこの法則や二二が四が気にいらないのに、自然律だの数学だのに、なんの係わりがあるというのだ? ドストエフスキー『地下室の手記』 ただ二二が四だけ幅を利かすようになったら、もう自分の意志も何もないじゃないか? 二の二乗は、わたしの意志なんかなくたって、やっぱり四になるんだからな。 してみると、この強情とわがままは間違いなしに、どんな利益よりも気持ちがいいわけである……利益! そもそも利益とはどんなものか? 人間の利益ははたして那辺に存するか? それを諸君は絶対正確に定義し得る自信を有していられるか? ところで、もし万一人間の利益なるものが、自己に有利なことでなく、不利を欲することに帰着するとしたら、いったいどんなものだろう。 しかし自分が渇望している世界は発見できない……恐らく、現実世界では叶わない? 理想郷なので、 諸君、とどのつまり、なんにもしないのが一番いいのだ! ドストエフスキー『地下室の手記』 現実世界では「 地下生活」が 一番ましな生き方、ということなのではないかと(このあたりについては主人公本人にも迷いがあるようで、うやむやになっています。 彼らは四十年でも無言の行をすることがでるけれど [#「でるけれど」はママ]、もし万一世の中へ出ようものなら、まるで堰が切れたように、それこそしゃべって、しゃべって、しゃべりまくるのだ…… 諸君、とどのつまり、なんにもしないのが一番いいのだ! 瞑想的惰性が一番いいのだ! だから地下の世界万歳というわけである。 なんということだ? ひとがこんなに優しくしてやってるのに、この女は…… 「いったいきみは、どんな気でいるんだね? まっとうな道を踏んでるとでも思っているのかい、え?」 「わたしなんにも考えてやしないわ」 「つまり、それがいけないんだよ、なんにも考えないということがさ。 ほかのだれでもないあの連中が、おれにあの散歩の仕返しを受けなくちゃならないのだ! やつらはおれの顔からこの泥を洗いおとす義務がある! さあ、もっと飛ばせ!』 『だが、もしやつらがおれを警察へ突きだしたらどうしよう! なに、そんな度胸があるものか! やつらは外聞の悪い騒動を恐れるに違いない。 「第二としては、仇っぽい 姐 ( ねえ )さんや、その尻を追い廻す連中が、虫唾の走るほどいやなんだ。 「でーえ、現在の内容は?」 「内容とはなんのことだね?」 「つまり、俸給のことかね?」 「全体、きみはぼくを試験しているのかね!」 でも、わたしはとにかく自分のもらっている俸給額を、すぐに白状してしまった。.

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